【知っておくべき】社会保険料ってどのくらい引かれるもの?

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今回は、社会保険に加入したら支払う保険料についてお話します。

社会保険とは「健康保険」と「厚生年金」のことです。

 

社会保険料はどうやって決まる?

「標準報酬月額」と「等級」というもので保険料が決められています。

 

①保険に加入するときの「月給の見込み額」を求めます。

時給1,000円 × 7時間 × 22日 = 154,000円

※月によって勤務日数の増減があるため、アビリティーセンターの場合は以下のように計算しています。

時給1,000円 × 7時間 × 5日/週 × 52週 ÷ 12ヶ月 = 151,666円

 

これに交通費、○○手当など毎月決まって支給されるものも加えます。

【交通費】 5,000円 + 【営業手当】 5,000円 = 161,666円

 

 

②資料にあてはめて「標準報酬月額」と「等級」を出します。

上記「月額の見込み額」161,666円は報酬月額155,000~165,000円となるので、

「標準報酬月額」は160,000円、「等級」は13となります。

 

そのため、

【健康保険料】8,024円 + 【厚生年金保険料】14,640円 = 22,664円

となります。

 

社会保険では本人と同じ額を事業主(勤務先)も負担していますので、実際には、この2倍の金額が納められています。

 

 

健康保険と厚生年金とは?

健康保険には、「協会けんぽ(全国健康保険協会)」「組合保険」などがあり、その会社によって「保険者」(健康保険を運営している者)が違いますし、保険料も違います。

ちなみに公務員は共済組合です。

(加入する本人のことは「被保険者」といいます。)

 

法律で保険料率の下限・上限が決められていますので、それぞれの「保険者」がその範囲内で保険料率を決定し、運営しています。

 

なお、40歳~60歳の被保険者は「介護保険料」も支払います。

アビリティーセンターが加入している「協会けんぽ」の令和6年度の健康保険料率は5.015%(本人負担分)です。

※40歳~64歳は、5.815%

 

次に厚生年金の保険料ですが、これはどこの会社でも同じで令和6年度は9.15%です。(健康保険の約2倍ですね。)

 

厚生年金保険の保険料率、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが平成29年9月を最後に引き上げが終了し、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。

 

ちなみに国民年金の場合は、保険料率ではなく、年齢や収入額に関係なく全国共通です。

(令和6年度:月額16,980円/毎年4月に改訂)

 

★厚生年金に加入している人は、国民年金保険料は納めませんが、「国民年金」に加入していることになっています。

ですから、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が受給できるのです。

 

 

保険料の徴収ルール

社会保険料はいわゆる「定額制」ですので、

月の途中で入社して社会保険に加入したから、月の途中で退職して社会保険を脱退したから、「日割り計算」になるというわけではありません。

 

例えば、4月1日に加入しても4月30日に加入しても、4月に負担する保険料は同じということです。

 

退職する際は「退職した月の末日時点で加入していた保険に保険料を支払う」ことになります。

 

例:Aさん 協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入中

4/20に退職し、同日で保険も脱退。4/21以降は国民健康保険に加入。

4/20に退職する(=退職した月の末日以外に退職する)ので、協会けんぽ(全国健康保険協会)ではなく、4/21から加入する国民健康保険に保険料を支払う

 

日本は「国民皆保険」なので、未加入状態はダメで、必ずどこかの保険に加入していなければならないのです。

 

【注意】こんな例外があります!

4/1にB社に就職(加入)し、

4/20にB社を退職(脱退)し、

4/26にC社に就職(加入)した場合は、

B社、C社の両方の給与から4月分の健康保険料が徴収されます。

 

加入時は「絶対徴収」なので、同月に2回加入があった場合は、それぞれの「保険者」に保険料を支払うことになります。

 

 

給与が上がったり、下がったりした場合には、保険料はどうなるの?

 

①変更された月から3ヶ月間、実際に支払われた給与を平均して新たな「標準月額賃金」を計算し、

 

②2等級以上の差があれば、

 

変更された月の4ヶ月後から保険料が変更となります。

 

変更されるタイミングで随時改定することから『随時改定』と言います。

 

ただし、

「全て17日以上出勤している」ことが条件となりますので、病気などで欠勤し17日未満の月が1回でもあれば「標準報酬月額」の見直しはされず、保険料の見直しはありません。

※短時間労働者(週の所定労働時間または1ヶ月の所定労働日数が正社員の3/4未満で、週20時間以上勤務)の場合は、月11日以上

 

Aさんの現在の等級は【等級13】160,000円ですから、【等級15】180,000円以上に該当すれば、8月1日から保険料が上がります。

 

この3ケ月間の平均給与には残業代も含まれますので、この期間に残業が多いと2等級以上の差が生じる可能性が大きくなりますね。

昇給した額はあまり大きくなくても、結果的に保険料が上がる、ということがあり得ます。

 

ちなみに、昇給があったことに対して見直しをするので、実際の給与平均額が下がっていたとしても保険料は下がりません。

 

・昇給に対して実際に給与がアップしたか?

・逆に降給に対して実際の給与が下がったか?

 

だけをみるからです。

 

 

給与が上がったり下がったりした時以外は「標準報酬月額」の見直しがないの?

給与が変わるタイミングで行われる「随時改定」以外にも見直しの時期はあります。

 

年に1回、加入者全員を対象とした「定時決定」というルールです。

 

 

被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないよう、毎年4、5、6月に支払われる3か月間の給与の平均から標準報酬月額の見直しを行います。

 

「随時改定」と違い、「17日未満の月」は計算から除き、「17日以上出勤した月」だけで平均額を求めます。

そしてそれが新しい「標準報酬月額」となり、9月分の保険料から適用されます。

 

 

もちろん、この時期に残業が多かった人は「等級が上がる=保険料が上がる」そして、翌年8月まではずっと高い保険料が続く、というわけです。

「随時改定」(しかも降給要因の等級変更)がない限り・・・です。

アビリティーセンターで「社会保険」や「法務」に携わる経験を活かし、働く人には知っていてほしい話をわかりやすくお伝えしていきます。