四国で働く社会保険担当”池田美千代”が、働く人に知ってほしい社会保険・労働基準法、税金についての情報をお届けします。
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2014年4月21日

【知っておくべき】社会保険料ってどのくらい引かれるもの?

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今回は社会保険に加入したら支払う保険料についてお話します。

 

社会保険とは「健康保険」と「厚生年金」のことです。

 

健康保険と厚生年金とで、約13.6%の保険料が給与から徴収される

健康保険

健康保険には、「協会けんぽ(全国健康保険協会)」「組合保険」などがあり、その会社によって「保険者」(健康保険を運営している者)が違いますし、保険料も違います。ちなみに公務員は共済組合です。

(加入する本人のことは「被保険者」といいます。)

 

法律で保険料率の下限・上限が決められていますので、それぞれの「保険者」がその範囲内で保険料率を決定し、運営しています。

なお、40歳~60歳の被保険者は「介護保険料」も支払います。

 

一般の企業が加入している「協会けんぽ」の26年度の健康保険料率は5.015%(本人負担分)です。

ちなみにアビリティーセンターが加入している「人材派遣健康保険組合」は4.35%で、協会けんぽより安いです。

 

 

厚生年金

次に厚生年金の保険料ですが、これはどこの会社でも同じで25年度は8.56%です。(健康保険の約2倍ですね。) 

 

なお、厚生年金は毎年9月に改定されますが、すでに平成29年度まで毎年あがることがきまっており、最終的には9.15%になります。(給与の約1割になります。)

厚生年金は毎年9月に改定

 ちなみに国民年金の場合は、保険料率ではなく、26年度は「月額15,250円」です。

男女、年齢、収入額に関係なく全国共通ですが、これも毎年4月に改定されています。

国民年金保険料

★厚生年金に加入している人は、国民年金保険料は納めませんが、「国民年金」に加入していることになっています。ですから、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が受給できるのです。

 

 

保険料はどうやって決まる?? 

ここまで保険料率の説明をしてきましたが、毎月の給与額に料率を乗じて保険料を計算するわけではありません。

実際には「標準報酬月額」と「等級」というもので保険料が決定されます。

では、下表から「標準報酬月額」、「等級」と「保険料」をみてみましょう。

 

まず、保険に加入するときの「月給の見込み額」を求めます。

Aさん 時給1000円 7時間勤務 週5日勤務(月22日勤務)

時給1,000円 × 7時間 × 22日 = 154,000円

 

これに交通費、○○手当など毎月決まって支給されるものも加えます。

【交通費】 5,000円 + 【営業手当】 5,000円= 164,000円

 

これを「標準報酬月額表」にあてはめてみると、【等級13】160,000円となりますから、

【健康保険料】8,024円 + 【厚生年金保険料】13,696円 = 21,720円

となります。

 

社会保険では本人と同じ額を事業主(勤務先)も負担していますので、実際には、この2倍の金額が納められています。

協会けんぽ 保険料額表

※社会保険料は賞与からも徴収されます。

 

保険料の徴収ルール

社会保険料はいわゆる「定額制」ですので、月の途中で加入したから、退職したから「日割り計算」になるというわけではありません。

1日に加入しても30日に加入してもその月に負担する保険料は同じです。

 

ただし、退職月については、退職日が末日以外の場合は、保険料は徴収されません。

1月なら31日が退職日、4月なら30日が退職・・・という場合のみ、その月の保険料が給与から徴収されます。

 

Aさんが4/20に退職した場合、その会社では保険料を徴収されないが、4/21から加入する「保険者」(例えば国民健康保険など)に保険料を支払う、ということです。

 

日本は「国民皆保険」なので、未加入状態はダメで、必ずどこかの保険に加入していなければならないのです。 

【注意!】こんな例外があります!

例外として、4/1にB社に就職(加入)し、4/20にB社を退職(脱退)し、4/26にC社に就職(加入)した場合は、B社、C社の両方の給与から4月分の保険料が徴収されます。

加入時は「絶対徴収」なので、同月に2回加入があった場合は、それぞれの「保険者」に保険料を支払うことになります。

 

 

給与が上がったり、下がったりした場合には、保険料はいつ、どう変わるの?

 Aさん 4月1日から1日の就業時間が8時間になった(給与が上昇した)場合

 4月分の給与から実際に支払われた3ケ月間を平均し、新たな「標準報酬月額」を求め、2等級以上の差があれば保険料が改定されます。

 

これを「随時改定」といいます。

 

が、「全て17日以上出勤している」ことが条件となりますので、病気などで欠勤し17日未満の月が1回でもあれば「標準報酬月額」の見直しはされません。

 

Aさんの現在の等級は【等級13】160,000円ですから、【等級15】180,000円以上に該当すれば、8月1日から保険料が上がります。

この3ケ月間の平均給与には残業代も含まれますので、この期間に残業が多いと2等級以上の差が生じる可能性が大きくなりますね。

昇給した額が大したことなくても、結果的に保険料が上がる、ということがあり得ます。

 

ちなみに、昇給があったことに対して見直しをするので、実際の給与平均額が下がっていたとしても保険料は下がりません。

 ・昇給に対して実際に給与がアップしたか?

 ・逆に降給に対して実際の給与が下がったか?

だけをみるからです。

 

給与が上がったり下がったりした時以外は「標準報酬月額」の見直しがないの?

「随時改定」以外にも見直しの時期はあります。

年に1回、加入者全員を対象とした「定時決定」というルールです。

 

被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないよう、毎年4、5、6月の3か月間の給与の平均から標準報酬月額の見直しを行います。

「随時改定」と違い、「17日未満の月」は計算から除き、「17日以上出勤した月」だけで平均額を求めます。

 

そしてそれが新しい「標準報酬月額」となり、9月分の保険料から適用されます。

 

もちろん、この時期に残業が多かった人は「等級が上がる=保険料が上がる」そして、翌年8月まではずっと高い保険料が続く、というわけです。

「随時改定」(しかも降給要因の等級変更)がない限り・・・です。

カテゴリー : 社会保険    タグ: 健康保険, 厚生年金, 社会保険
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書いた人

池田美千代

アビリティーセンター入社30年。営業・コーディネーター・総務などを経験し、社会保険担当になりました。今までいろいろな立場で働く人と関わってきた経験を活かし、社会保険・税・労働基準法のことをお話していきたいと思います。

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