低下した賃金の一部を補う。60歳以降も働く人のための給付金

カテゴリー:

20160125img1

2025年問題ってご存知ですか?

2025年は、団塊の世代が75歳以上になる年です。

 

2025年以降は2,200万人、4人に1人が75歳以上という超高齢社会がやってきます。

これまで国を支えてきた団塊の世代が給付(年金や福祉サービス)を受ける側になるということです。

 

また、100歳以上の高齢者が全国に6万人いるそうで、日本はこの30年間で100歳以上の人口が35倍になったそうです。すごいですね。

 

大部分の企業の定年は60歳ですから、20歳から40年間働いて、その後さらに40年近い人生があるということになります。

そうなると老後のお金が心配になってきます。

 

いったいいくらあれば足りるのでしょうか?

 

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

そこで平成25年4月1日に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)により「希望者は原則65歳まで雇用継続」となりました。

 

この法改正により60歳定年企業における継続雇用者は75%になっています。

 

が、定年後は雇用条件が変わり、給与が減るケースが多いです。

60歳以降の賃金が定年前の50%程度に減額されるという企業の割合は約70%、という調査結果もでています。

実際のところ4割程度の賃金減額は「公序良俗」に違反するとはいえないという裁判例もありますから。

 

 

60歳以降も働く人のための「高年齢雇用継続給付金」は、65歳までが対象です。

雇用保険から60歳以降に低下した賃金の一部を補う「高年齢雇用継続給付金」が支給されます。

 

具体的には60歳になる前月から遡って6ケ月分の給与の平均額を「60歳到達時賃金」としてハローワークへ届出します。

この手続きは60歳時点で雇用している会社が行います。

ご本人には「通知書」が届きますので、65歳まで保管しておいて下さい。

 

では、例を見てみましょう。

 

例)10/2生まれの人(定年:10月31日)の場合

20160125img2-2

このお金は会社を経由せず、ハローワークから直接、本人の銀行口座に振り込まれます。給与ではないので「非課税」扱いです。

なお、60歳時の給与から下がった分を全額補填してくれるということではなく、実際の給与額に支給率を乗じた額が支給されますので、補填額は少ないですが、65歳まで働くことを支援する制度です。

 

例)60歳到達時賃金が30万円の場合の高年齢雇用継続給付金の支給額

20160125img3

ただし、支給上限額は34万1542円なので、対象月の賃金がこれ以上の場合は該当しません。

 

 

高年齢雇用継続給付の受給要件

高年齢雇用継続給付を受給するには、次の要件を満たす必要があります。

 

【1】雇用保険の被保険者期間が5年以上あること。失業保険等を受給したことがある場合は、その受け取り終了から5年以上経過していること。

※再就職手当、または早期再就職支援金を受給していないこと。

※定年後、失業保険をもらった後に再就職した場合は、対象になりません。

 

【2】60歳以上65歳未満 かつ 雇用保険の一般被保険者であること(週30時間以上の就業者)

※1年を超えて引き続き雇用されることが確実であること

 

【3】介護休業給付の支給対象となっていないこと。

 

 

高年齢再就職給付金

では失業保険をもらっていた60歳~65歳の人が再就職し、賃金が60歳到達時賃金の75%以下となった場合はどうなるかというと、「高年齢再就職給付金」がもらえます。

これは失業保険の残日数に応じて支給されるというものです。

 

●失業保険の支給残日数100日以上200日未満:1年間を上限に65歳まで

●基本手当の支給残日数200日以上:2年間を上限に65歳まで

 

 

定年後、そのまま継続していればもらえるということではなく、違う会社に移っても要件を満たせば65歳まで支給されますから、勤務先に確認してみましょう。

アビリティーセンターで「社会保険」や「法務」に携わる経験を活かし、働く人には知っていてほしい話をわかりやすくお伝えしていきます。