配偶者控除 150万円まで拡大!?

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最近、話題の「配偶者控除」。

所得税を計算するときの控除額の1つですが、既婚女性には大変関心のある言葉です。

「配偶者」というのですから、独身女性には関係ないようですが、「働く女性」という意味では関連があります。

 

まず、「配偶者控除」とは、妻から見た「夫の所得税」に関することです。

妻の年収が103万円以内だと、夫の所得税がいくらか安くなります。

「安くなる」といっても、夫の給与の38万円分に所得税がかからない(非課税)というだけなので、年間38,000円~多くても76,000円くらいです。

月にすると3,200円~6,300円くらい、夫の税金が安くなるということです。

 

日本の所得税率は、「累進課税方式」で、所得が多くなるほど、税率が高くなっていきます。最低5%~最高45%の7段階に区分されます。

夫が平均的な年収のサラリーマンだと所得税率は10%か20%なので、先ほどの金額になります。

 

妻の年収による夫の所得税の減税額をみてみましょう。

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夫の年収600万円の場合、妻の年収が103万円から120万円に増えると、収入が17万円増えますが、夫の税金は17,000円上がるので、全体としては、年153,000円の増収になります。

 

「配偶者控除」はこのような仕組みですが、なぜか驚くほどの節税効果があるかのように、妻は103万円を超えないように勤務時間のやりくりしているのが現状です。

10月、11月になると急に出勤日数を減らしたりするパートさんが多いようです。

 

これに対し、政府は2つの大きな決断をしました。

 

①10月からスタートした社会保険の適用拡大

今回は大手企業だけが対象ですが、数年後には中小企業にも適用されます。

週20時間以上、月給88000円以上のパートさんは社会保険に加入することになりました。

 

これにより、夫の健保の扶養家族でいられなくなった妻は、社会保険料を払うためにもっと働く時間を増やすでしょう。

ここで、妻の年収が130万円を超えると、夫の健保の扶養家族ではいられなくなりますが、130万円以上あるということは月給11万円以上になるので、さきほどの社会保険適用拡大(短時間加入者)に該当し、妻自身が勤務先の社会保険に加入します。

 

②配偶者控除枠の拡大

現在の103万円を、150万円にまで広げるというものです。

(2016/11/25 税制調査会最終調整案)配偶者特別控除は201万円まで)

 

これが実現すると、妻は月125,000円まで稼いでも、夫の配偶者控除の38万円が適用されるので、103万円の時と同様に夫の所得税は軽減されます。

ですから、妻はパートの時間を調整したりする必要がなくなります。

 

配偶者控除が150万円に拡大されると、先ほどの表の103万円が150万円になっても夫の税金は同じ節税効果があるということです。(予想額)

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そうすると、世帯所得はずいぶん増えますので、世の中は働く女性が増え、人口減少による労働力不足も解消されます。

さらに、88000円以上の妻の給与には所得税がかかるので、国は税収入が増えます。

社会保険に加入して保険料を納め、税金も支払う女性が増えると国は潤います。

 

 

配偶者控除が拡大されたと仮定して、時給900円・週27時間勤務のパートの妻についてシュミレーションしてみましょう。

(※勤務先が501人以上の企業)

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妻が働く時間、年収を増やし、社会保険に加入して働いても、最終的な手取りはそれほど減少しないということです。

 

社会保険に加入していれば・・・

将来、年金の受取額が増えますし、病気になった時の傷病手当金や出産手当金などの給付が受けられます。

病気やケガで障がい者になった場合に支給される「障害年金」は、厚生年金に加入しているかどうかで大きく違ってきます。

育児休業給付金や失業保険などは雇用保険から支給されますが、直近半年間の平均賃金額で決まるので、収入が多いほどそれらの給付額も多くなります。

 

女性が社会で活躍する環境整備がどんどん進んでいます。

女性が元気だと家庭も社会も明るくなりますから!!

アビリティーセンターで「社会保険」や「法務」に携わる経験を活かし、働く人には知っていてほしい話をわかりやすくお伝えしていきます。