労働基準法の基礎知識『振替休日』と『代休』について

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休日とは?

休日とは「仕事がお休みの日」と思われている方も多いと思いますが、同じ休日でも
法律で定められている休日
会社で決めている休日
休日出勤の代わりの休日

にはそれぞれ性質や取扱いに違いがあります。

『休日』も法律で決められている?

労働基準法では、
毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上の休日を与えなければいけない。
と定められています。これを『法定休日』といいます。(労働基準法第35条)
休日には法定休日の他に会社が定めた休日があります。これを『所定休日』(法定外休日ともいいます)といいます。
 
1日8時間の会社であれば、週5日勤務すると、40時間となります。労働基準法で定められている1週40時間を超過しないように週休2日制の会社が多いのはそのためです。

※労働時間について詳しくはこちら⇒https://www.i-oshigoto.co.jp/law/roudouhou/517
 
週休2日制を採用する企業では、労働基準法で定められている「毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上の休日」を満たしているため次のどちらを適用しても問題はありません。
週2日ともに法定休日にする
1日を法定休日、もう1日を所定休日(法定外休日)とする
 

『法定休日』と『所定休日』の違い

『法定休日』は法律で決められた休日で、割増賃金が発生しますが、『所定休日』は割増賃金が発生しません。但し、所定休日に出勤したことで週40時間を超過した場合は、時間外割増が発生します。

休日労働をした際の休日

労働者に休日労働させ、法定休日の要件(毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上の休日)を欠く場合には、休日労働の代わりとして別の日に休日を与えなければいけません。
その方法として『振替休日』と『代休』があります。
この2つの言葉を特に意識せずに使っていたという方もいらっしゃると思いますが、この2つには明確な違いがあります。
 

『振替休日』と『代休』とはどのような休日?

休日出勤させた代わりに休日を付与する方法として『振替休日』と『代休』があります。
振替休日と代休はどちらも本来のお休みの日に出勤させる代わりに他の日に休みを与えるものですが、取扱いには違いがあります。
また、「振替休日なのか」「代休なのか」は、代わりとなる休日を決めるタイミングによります。
 
 

法定休日を労働日にして、労働日を休日にすることです。
 ⇒休日と労働日を入れ替えるということです。

“事前に”法定休日(日曜日)に出勤させなければならないことがわかっている場合、労働日(水曜日)を振替休日にすることで法定休日の日数を確保することができます。
上の図の場合、日曜日はもともと法定休日ですが、日曜日の代わりに水曜日を休日として扱うため、休日には該当しません。そのため、休日労働の割増は発生しません。
 

振替休日をとるための要件

就業規則に振替休日に関する規定がある
出勤する休日と振り替える日を休日出勤する前日までに決めておく
振替休日を行なっても法定休日のルール(1週1日または4週4日)のなかで設定する
振替休日をとるためにはこれらの要件を満たす必要があります。
 
 

所定休日に勤務した場合に振替休日を取得しても問題ありませんが、振替休日が必要なのは法定休日に勤務した場合です。

上の図のように法律で定められた法定休日の日数を確保できていれば、所定休日に出勤した場合の振替休日を取得する必要はありません。
但し、所定休日に出勤したことで週40時間を超過した場合は超過分については時間外労働の割増(25%)賃金となります
 
 

同じ週で振替休日が取れない場合は、次週以降で取得することが可能です。

法定休日(10日・日曜日)に勤務し、同一週で振替休日がとれず、次週(20日・水曜日)に振替休日を取得した場合は、振替休日を指定したことにより、休日労働の割増は発生しませんが、労働基準法第35条で定められている労働時間「1日8時間、週40時間」を超えるため、週40時間を超えた部分については時間外労働の割増(25%)賃金となります。
 
 

振替休日の取得期限はある?

労働基準法に振替休日の取得期限についての規定はありません。
そのため、一般的には「賃金その他の請求権の時効」(労働基準法第115条)が適用され、2年間で時効を迎え、休みを取る権利が消滅します。
 
 

休日に労働した後に他の労働日の勤務を免除するものです。
 ⇒休日出勤は「休日に出勤した」ものとして取り扱われ、代わりに休みを与えた日は「勤務日に休んだ」ものとして取り扱われます。

休日(日曜日)に労働が行われた”後で”、労働日である木曜日の労働義務を免除することになります。
この場合、日曜日に休日労働をしたと取り扱われるため、休日労働の割増(35%)が発生します。
 

「代休」は必ず与える必要がある?

労働基準法では代休についての規定はありません。就業規則等で定められていない場合、会社は代休を取得させる義務はありません
 
 

アビリティーセンターで「社会保険」や「法務」に携わる経験を活かし、働く人には知っていてほしい話をわかりやすくお伝えしていきます。