四国で働く社会保険担当”池田美千代”が、働く人に知ってほしい社会保険・労働基準法、税金についての情報をお届けします。
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2017年11月21日

今年も年末調整の時期になりました!年末調整の基礎知識

そもそも年末調整とは、毎月の給与から徴収されている所得税が「概算」なので、その年の最後に支払う給与で、賞与も含めての年収が確定するので、12月に精算するのです。

所得税は、年収から非課税額を差し引き、残った「課税所得」に所得税率をかけて計算します。

年収が確定しかつ 12/31時点の扶養家族などの状況によって計算されます。

 

ですから、この非課税部分が多いほど、税額が少なくなります。

 

非課税項目とその控除額をみてみましょう。

いろいろありますが、誰でも該当する非課税は、①と②です。

① と②を合計すると、103万円ですから、103万円以下の人の所得税は0円になります。

ですから、ほとんどの人に該当するのは①~③で、④以降は、扶養家族の有無か、母子家庭かどうかなど、その人の状況によります。

では、例を見てみましょう。

 

Aさんは年収500万円で、扶養家族はいません。(16歳未満の子は非課税になりません。)

すると、非課税額は、基礎控除38万円、給与所得控除154万円、社会保険料70万円(年収の約14%)合計、262万円ですから、課税所得は238万円になります。

所得税率は、課税所得に比例して高くなり、5%~45%までの7段階あります。

Aさんの税率は10%になりますので、

238万円×10%-97500円=140,500円 これがこの年の所得税額になります。

もし、Aさんに年収103万円以下の妻と高校生の子がいたとしたら?

非課税額が、妻と子それぞれ38万円なので、課税所得が162万円に減りますから、税率は5%になります。

162万円×5%=所得税額は81,000円になります。

このように、その人の状況によって、同じ年収額でも、税額は変わります。

 

所得税は12/31時点での、その人の状況で計算する

12/31時点での、その人の状況で計算するので、毎月、給与から徴収されている所得税が概算ということが分かると思います。

 

例えば、1月~4月まで正社員で働いていた妻が退職し、5月以降にAさんの扶養に入ると、Aさんの5月以降の所得税は減税されますが、1月~4月は多く徴収されているので、年末調整で還付されます。

12/31時点で扶養家族なら、いつから扶養したかは関係なく、1年間扶養していたという計算になります。38万円の控除額に月割り計算はありませんから。

 

逆に、3月までは大学生だった子どもを扶養していたが、4月に就職し、その年の年収が103万円を超えていれば、父親には年末調整で63万円の控除がなくなります。

なくなるということは、63万円×税率10%=63,000円の増税になる、ということです。

 

もし、4月に高校を卒業した子どもが就職したが、秋に退職してしまった、という場合なら、12/31時点(19歳かつ年収103万円以下)で扶養していれば、63万円の控除額があるので、63,000円減税になるということです。

この事例では、父親の税率が10%ですが、もし20%なら、年間126,000円の増税か、減税になり、5%なら31,500円の増税か減税になるということです。

 

また、妻が5月から社会保険に加入して働き始めた場合、その年の年収が103万円以下なら、夫は配偶者控除38万円が非課税になります。

たとえば、妻の月額14万円×7ケ月=年収98万円なので、妻自身も所得税0円で夫にも配偶者控除があります。

健保の扶養家族と税金の扶養家族は別ものです。

来年から配偶者特別控除が150万円まで拡大されますから、夫の健保の扶養ではないけど、税金の扶養である、という妻が増えるでしょうね。

 

育児休業中は無給なので、その年は扶養に入れて、夫は配偶者控除を受けることができます。

育児休業給付金や失業保険、労災の休業補償などのお金は、全額非課税ですから、申告の必要はありません。

また、社会保険料は他の非課税項目と違い、全額が非課税となります。

 

その年に支払った、国民健康保険料や国民年金保険料なども領収書を会社へ提出すれば、全額非課税になります。

大学生の子どもの国民年金を親が支払った場合、その額も全額非課税になります。

国民年金保険料は、年間約20万円ですから、大きいですね。

扶養している親(75歳以上)の後期高齢者保険料も親の年金から天引きするのではなく、自分(子)の口座から支払えば、子はその全額が非課税になります。

 

2ケ所以上で働いている「ダブルワーク」の人について

Bさんは、①週4日×6時間 と ②週2日×5時間 働いています。

① の方が給与額が多いので、そちらでは税金を「甲」=通常の計算で徴収します。

② の方は、「乙」という計算になり、毎月の給与から高い所得税が徴収されます。

2ケ所以上で働く人は、どちらの会社でも年末調整ができないので、①と②の源泉徴収票を持って、3月に税務署で確定申告をして、税金を還付してもらいます。

 

確定申告では、生命保険料控除(最高12万円)や地震保険料控除(最高5万円)があります。

例えば、月給15万円の人は、毎月、給与から所得税が2260円(年間27,120円)が徴収されますが、生命保険料の領収書8万円がある場合、

年  収   180万円

基礎控除   -38万円

給与所得控除 -72万円

社会保険料  -25万円

生命保険料   -8万円

=課税所得37万円×5%=所得税18,500円(月額1500円)

となりますので、27,120円-18,500円=8,620円が年末調整で還付されます。

 

 

 

日本は、会社が全ての税計算をしてくれるので助かりますね。

ですが、人任せだからこそ、自分の給与明細書をみても、項目や金額の意味が分からず、どのように計算されているのか知らない、という人が多いのです。

大事なお金ですから、基礎知識を持っておきましょう。

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書いた人

池田美千代

アビリティーセンター入社30年。営業・コーディネーター・総務などを経験し、社会保険担当になりました。今までいろいろな立場で働く人と関わってきた経験を活かし、社会保険・税・労働基準法のことをお話していきたいと思います。

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