雇用保険は「失業手当」だけじゃない【その2】「介護休業給付金」の豆知識

カテゴリー:

201407241

先号で「育児休業給付金」についてお話しましたが、雇用保険から支給されるものがまだあります。

「育児休業」と同じく法律で認められている「介護休業」です。

これは家族の介護をするために休業する場合で、最長3ヶ月(93日間)です。

 

「介護休業給付金」の支給要件をみてみましょう。

【1】対象家族(配偶者・父母・子・配偶者の父母や同居しかつ扶養している祖父母や兄弟姉妹、孫)を介護するための休業であること。

 

【2】休業開始した日前2年簡に雇用保険の加入期間が通算して12ケ月以上あること。(11日(有給含む)以上出勤した月が12回以上あること)

 

同一家族について延べ93日間が上限です。

(例:配偶者で93日間、父親で93日間ということです。)

 

同一家族についての取得は1回限りですが、「分割取得」も可能ですが。それはその家族の要介護状態に変化があった場合のみです。

例えば、母親の介護のため60日間休業した後に復帰したが、後日、母親が以前とは違う要介護状態になった場合は、残り33日間の休業を取得することができます。

 

なお、休業期間中に出勤することがあっても、月20日以上(休日も含めて)休業していれば支給対象となります。

但し、80%以上の賃金を受けていた場合は支給対象外です。

 

「要介護状態」とはどんな状態か、具体的にみてみましょう。

【1】日常生活動作事項(第1表の事項欄の歩行、排泄、食事、入浴及び着脱衣の5項目をいう。)のうち、全部介助が1項目以上又は一部介助が2項目以上あり、かつ、その状態が継続すると認められること。

 

【2】問題行動(第2表の行動欄の攻撃的行為、自傷行為、火の扱い、徘徊、不穏興奮、不潔行為及び失禁の7項目をいう。)のうちいずれか1項目以上が重度又は中度に該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

 

201407242

201407243

 

介護休業給付金の支給額は、休業開始時賃金日額の40%です。

休業開始時賃金日額・・・休業開始前6ケ月間の賃金総額を180で割った額

例)Aさん 7/1から介護休業を取得する場合 <月給 200,000円> 

昨年12月分~今年5月分の賃金総額が、120万円 の場合、

1,200,000円÷180日=日額6,666円

6,666円×40%=1日につき2,666円

最高93日間=247,938円

 

給付金は会社を経由せず、所轄のハローワークから直接本人の銀行口座に振り込まれますので、所得税や住民税の対象にはならず「非課税」です。

 

これまで、女性が働きながら子どもを産み育てやすいようにと、子育て支援は社会の問題として取り上げられてきました。

介護は「家庭の問題」として表に出にくかったのですが、多くの職場で共通し、誰もが当事者になりうることです。

 

今後の日本は、平成47年には3人に1人、平成67年には2.5人に1人が65歳以上の「超少子高齢社会」になるとの予測ですから、大変な時代がやってくるのです。

 

現在、働きながら介護している人は290万人。

そのうち働き盛りの40代、50代は170万人。

ですが、介護休業の取得率は1割未満だそうです。その理由としては、介護は育児と違って先の予測が立たず、いつ終わるかわかりません。

93日間という休業期間ではとても対応できません。

結局、介護を理由に退職する人が急増(年間10万人)しています。

 

仕事と介護の両立は、職場の内外に支援がないと無理なのです。

 

また、企業にとっても経験豊富な人材を失うのは大きな損失となりますので、今後、介護職員を増やす、介護休業期間の拡充や介護休業給付金を増額するというような支援策が必要です。

 

また60歳以上の介護者が約60%に及び、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が現実のものとなっています。

この状況では家族による介護には限界がありますから、もはや個人や家族の枠を超え、社会全体、国民全体で考えるべき深刻で現実的な課題なのです。

 

アビリティーセンターで「社会保険」や「法務」に携わる経験を活かし、働く人には知っていてほしい話をわかりやすくお伝えしていきます。