【東温市】循環する暮らしを求めてIターン・鶴見さんご夫婦インタビュー

松本 強志2014年8月1日 by松本 強志

東温市井内、川内インターから約20分。道中不安になるほどの山道を登った山奥に、鶴見さんご夫婦の自宅があります。

 

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おふたりは、平成12年までは千葉に住んでおり、愛媛には縁もゆかりもありませんでした。

現在、ご主人の武道さんは愛媛大学の客員教授をしながら、「えひめ千年の森をつくる会」の会長を勤めるほか、環境につながるさまざまなお仕事を。妻の恵子さんは、玄米菜食を中心とした「マクロビオティック食事法」や、思考を整理して暮らしを整える「ライフオーガナイズ」の講師をしています。そして、お二人で農業も営んでいます。

 

そんなおふたりに、愛媛に来られたきっかけ、そしてお仕事へ対する想いを伺いました。

 

鶴見先生はIターンにて愛媛に来られたそうでが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

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武道さん:

もともと僕は、千葉県の高校の教員として働いていました。愛媛移住の話が出たのは、教員になって22年目、農業高校の教頭になって3年目のことでした。

愛媛大学に居た研究仲間から、「愛媛大学の農学研究科で、『社会人リフレッシュコース』という新しいコースを立ち上げるのだけど、そこの専任として来ないか?」と声をかけられたのがきっかけでした。

 

 愛媛へ移ろうと決心した決め手は何だったのですか?

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武道さん:

移住の話が来たとき、最初はお断りをしました。

なぜなら、千葉で人脈もできていまし、年齢も50歳を超えていました。教頭という役職にも就いていましたので、あとは校長になるのを待つだけ。妻も生涯をかけてやってきた仕事がありますし、娘はまだ小学2年生。転校させることにも抵抗がありました。そして何より、誘ってもらった話が、“重大なポストへの就任”だったので私の手におえるのか?という不安がありました。

でも、そのことを妻に話すと「あなたの天職は林学だから、愛媛に行きましょう!私は1年後に仕事を辞めて、娘と行きますから」と言うのです。

 

恵子さん:

主人は、本当は専門の林学を生かして大学で働きたかったのです。高校の教員をしながらも、論文をずっと書いていましたし、「千年の森をつくる会」という森づくり活動も行っていました。林学に携わることは、主人の長年願っていたことだったのです。

私は当時、特別支援学校(旧・知的障害養護学校)の教員の仕事をして25年目でした。仕事にはやりがいを感じていましたが、循環型の暮らしを目指していたので、愛媛に行けばその理想に近づけるかもという期待がありました。

 

Iターンを考え初めて、愛媛に来られるまでどのぐらい時間がかかりましたか?ご苦労したことはありますか?

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武道さん:

話をもらってから1年後に、私が単身赴任で移住。その1年後に妻と娘が移住しました。

移住を決意してから、「鶴見先生以外にも、もう一人愛媛在住の候補者がいる」ということを聞いて、「地元に希望者が居るなら、やっぱり断ろう」と思っていた期間もありました。結局その方は条件が合わず、私が行くことになったのですが。そんなこともあって、行くまでは結構慌ただしかったです。

 

現在のお仕事について教えてください。

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武道さん:

平成24年の3月で愛媛大学の教授を定年退職し、今は、愛媛大学南予水産研究センター客員教授として、『えひめ水産イノベーション創出地域人材育成』のプログラム開発や実施を行っており、同時に「えひめ千年の森をつくる会」の会長、「えひめ森林ボランティア連絡協議会」会長、「四国の森づくりネットワーク」の会長も勤めています。退職してからは、ゆっくり農業を・・・と思っていたのですが、その暇が取れないぐらい忙しいです。

やっている仕事を一言で伝えると、「農林水産業の新しい未来をつくること」でしょうか。特に力を入れているのは、人材育成です。

 

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恵子さん:

私は、有機・無農薬で米づくりをしながら、玄米・野菜・海藻・豆と、少しの動物性のものをいただく「マクロビオティック」の食事法・生活術を実践し、お伝えする仕事をしています。1年前ぐらいから、思考を整理して暮らしを整える「ライフオーガナイズ」という生活術の教室も行っています。

私の中では、そのすべてがつながっており、循環しています。

 

仕事が変わったことで、ご苦労されたことは何でしょうか?

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武道さん:

平成15年、こちらに越して来てから愛媛大学農学研究科の『社会人リフレッシュコース』の担当になり、平成20年には『農山漁村地域マネジメント特別コース』を立ち上げ、そして今は『えひめ水産イノベーション創出地域人材育成』に携わっていますが、そのすべてが新しい取り組み。前例のないことだったので、一から考えて作り出すのには、とても労力がかかりました。

 

恵子さん:

教師としてのキャリアはありましたが、農家としての知識も経験もありませんでしたから、農業をスタートするのは大変でした。「安心・安全な米づくり」をめざし、有機・無農薬で米づくりをしていたので、2年目にはものすごい量の草が生えました。近所のお百姓さんにお願いし、2反5畝13枚に分かれている田んぼを、5日間、5人で草取りをしました。草取りを完了し、やれやれ〜と思っていると、最初に草取りを行った田んぼにもう草生えているではありませんか!またしても5人で5日がかりで、草取りを行いました。

3年目の年も、草が見え始めると「また、あの過酷な草取りがはじめるのか…」と憂鬱になっていたのですが、あるとき合鴨を使って米づくりをしている有機グループの話を聞きます。合鴨が田んぼで草や虫をとってくれるというのです。

「うちにも合鴨がいてくれたら・・・」と羨ましくおもったのですが、その時ふっと「そうだ!自分が合鴨になってみればいいじゃないか」という考えが浮かびました。その後、合鴨の気分で草取りをすると、今まで憂鬱だった草取りが、わくわく楽しくなりました。

この発想の転換は、それ以降ここでの暮らしでの大切なよりどころとなりました。

 

地域にはすぐなじめましたか?

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武道さん:

よく「新参者はいじめられる」とか聞きますが、ぜんぜんそんなことがありませんでした。みなさん、すごく優しい方で、いろいろと助けていただきました。

この物件を見に来たときも、庭でおじさんおばさんたちが焼き肉をしていたのですが、「一緒に食べんかい?」とお裾分けをしてもらいました。おじさんはこの物件の所有者で不動産会社の社長で、以前会ったことのある農学部の同窓会長でした。近所のおばさんに移住しようとしていることを伝えると「ここはいいところよ〜」と歓迎してくれました。

後から聞くと、そのときは「ここは、猿が運動会していた場所。都会で住んでいた人はここでは住めないだろうな…」と思っていたそうなのですが、本当のことを言うと住むのを辞めてしまうかもしれないので、言わなかったそうです。ちなみに、職場までは片道26.7km。通勤に45分〜1時間かかります。

 

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恵子さん:

引っ越してきてからすぐに米づくりをしたので、先ほどお話したように地域の人たちには随分助けられました。そのお礼に、千葉に居たときに習得していた“ヒーリング”をしてあげることもありました。「腰の痛みがやわらいだ」と喜んでもらいました。

また、娘が小5のときに小学校のPTA副会長になりました。その際に、「千年の森」の活動をしていることを伝えると、「子どもの自然体験教室をそこでやれないか?」という話になり、月に一度の自然体験教室がはじまりました。

私たちが住んでいるところは、今まで誰もお客さんがこなかった場所でしたが、小学校の子ども達、その保護者、先生たちが毎月100人もやってきてくれるようになり、地域の人たちも喜んでくれました。

また、Iターンで愛媛に来て農業をしていることを、愛媛新聞の四季録で書かせてもらうことになり、地域の情報を発信することもできました。そのことも地域の人たちが喜んでくださいました。農業のことは地域の人たちが教えてくれ、私がそれを発信する・・・。次第に地域とのよい関係が生まれてきました。

ちなみに、縁もゆかりもない土地に来て、友達もおらず、寂しい想いをするのではないかと自分でも思っていたのですが、よく考えたら夫が一番の友達でした! お互いにたくさん話をしていたので、寂しい想いはありませんでした。

 

 これからやりたいことは?

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武道さん:

多くの人が「農」のある暮らしをしてほしい。少しの面積でよいから、自分の手で、手間ひまをかけて、やってほしい。

そして、みんなで農林を大切にしていけるような社会を実現したいです。

そのために、この場所で「農」「食」「暮らし」「林業」を、いろいろな角度から提案していきたいです。

 

恵子さん:

私が合鴨の気持ちになって草取りをすることで、気持ちがラクになったように、自然は「発想の転換」をさせてくれ、いろいろなことを教えてくれます。千年の森の活動など、一緒に活動を行うことでそれを伝えられたらと思います。

そして、「マクロビオティック」や「ライフオーガナイズ」の考え方をお伝えして、一人ひとりが「小さく循環する暮らし」をしていけるようになれるとうれしいです。

 

愛媛へIターンを考えている方へのメッセージをお願いします。

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恵子さん:

農業をしようと考えている方は、最低限の収入を確保したうえではじめた方が安心だと思います。農業は天候にも左右され、大きな自然を目の前に想い通りにいかないことが多いからです。

 

武道さん:

田舎の人たちは親切だと言いますが、「してもらって当然」と思わないことが大切です。していただいたことには、礼を尽くすよう心がけています。

そしてそれなりの準備は必要です。やりたいことがあるのなら、まずは収入源の確保が大事。「仕事がない」と嘆くのは間違っています。仕事は必ずあります。副業を組み合わせてもいいのですから。覚悟さえあればできます!

千葉県で教員を続けていれば、穏やかでラクな人生だったと思います。今の仕事は忙しいし、困難も多いですが、とてもやりがいがあります。息子も、千葉から移住して、目の前に家族と一緒に住んでいます。家族みんなで楽しく暮らすこともでき、最高の人生です。

 

ありがとうございました。

 

鶴見さんご夫婦の活動はこちらでチェック。

みなさんも、一緒に活動してみませんか?

 

えひめ千年の森をつくる会について http://www.1000-mori.jp 

マクロビオティックについて http://つるちゃん.com/macrogohan/

ライフオーガナイズについて http://つるちゃん.com/macrorg/

category / 四国へ移住

この記事を書いた人

松本 強志

松本 強志

名古屋から地元愛媛にUターン転職。四国を元気にしたい思いでエンジニアから総合人材ビジネスへ転職。システム担当、総務担当、請負事業推進担当を経て現在、自分と同じ様に四国に戻って働きたい、四国で暮らしたい方への就業支援に従事し、四国外での転職セミナー企画や移住者の声をネットを通じ発信している。

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