求職者と仕事をマッチングする(1/2)
2018年3月23日 byアビリティー・センター
求職者と仕事をマッチングする
ミヤウチ 自称「ワークウーマンハンター」の私は、これまで、アビリティーセンターに登録していきいきとお仕事をしている女性達にインタビューしてきました。
その中で、派遣会社のイメージが大きく変わったですね。アビリティーの皆さんは、働く女性の応援団であり、伴走者だと感じたんです。
そこで今度は、優しくてたくましい(笑)そんなアビリティーの社員さんのお話を聞きたいなあと思ったんです。今日は新居浜オフィスのリーダーである片上亜美さんに迫ります(笑)。よろしくお願いします。
片上 こちらこそよろしくお願いします。いざ、こうしてお話をさせていただくのは何だか緊張しますね(笑)。
ミヤウチ いつも派遣スタッフさんやオフィスの社員の皆さんに話をしておられるのですもの。どんどん言葉が出てきますよ。まず、片上さんがどんなお仕事をしておられるのかお聞かせください。
片上 私は、アビリティーセンター新居浜オフィスを任せていただいています。20代から60代までの総勢17名のメンバーといっしょに、四国中央市から今治市までの東予地区を担当しています。
仕事の1つ目は、人材を探しておられるお客様(企業・事業所・役所など)に、人材をご紹介する人材派遣の仕事ですね。
2つ目はこの東予エリアに転職したい方やUターン・Iターンしたい方の就職のお手伝い、
3つ目は東予エリアの企業様の社員育成のための教育研修のお手伝い、主にこの3つの仕事をしています。
ミヤウチ 企業と求職者のマッチングは、具体的にはどのような手順でおこなわれるのですか。
片上 まずは、企業さんの方へ毎月出向いていきます。
人の問題で困ったことのない会社はありませんので、いろいろなお話を聞かせていただきます。そんな中で、新たなプロジェクトの立ち上げや社員さんの妊娠などで人材が足りなくなったときに、人材紹介のご依頼をいただきます。
もう一方では、求職者さんの側ですね。この事務所に相談にこられる皆さんの希望を丁寧に伺います。希望の職種や会社、勤務時間帯やお休みなどをお聞きします。そして、アビリティーセンターの派遣スタッフとして登録していただきます。
ミヤウチ 希望通りの仕事が見つかりますか。
片上 勿論100パーセント希望通りというのは難しいです。そこで譲歩できるところを話し合って探しながら、より希望に近いお仕事を紹介します。
希望通りでなくても、スタッフ(アビリティーに登録した求職者)さんの能力や持ち味が生かせるようなお仕事を探して、こちらから連絡させてもらいます。
各企業さんの求人情報をメールでも配信していますので、それを見て問い合わせいただくこともあります。そうしてマッチングしていきます。
ミヤウチ マッチングと言うととてもいい響きですが(笑)、現実的には、スタッフさんそれぞれの思いがあってなかなか条件を譲歩できないこともあったり、
逆に、企業にとってもなかなか譲れない雇用条件があったり、マッチングする立場の片上さんたちは板ばさみになって大変なのではないですか。
片上 そうですね。辛いことはよくありますね(笑)。でも、そこをマッチングするのが人材派遣業の醍醐味なんですね。
企業さんの事情もスタッフさんの事情も1日経つとガラッと変わることがあるんです。いかにタイムリーに双方の情報を集めてこれるかがポイントですね。それが営業マンの手腕です。
当社の場合、求職者の皆さんは、まず登録を専門に担当するコーデュネーターがお話しさせていただきます。そこでいろいろお聞きして相談します。
次の段階として、具体的に希望するお仕事があった場合は、その会社を担当している営業マンが、もう一度、そのスタッフさんとの面談を行います。
話す相手が変わると、また考え方も変わったりしますね。そんな2段階の話し合いでミスマッチを防ぎながら、活躍できる仕事をご紹介できるようにしています。
ミヤウチ それは、いいですねえ。考えがぼんやりしていたり、遠慮して言い辛かったりしていたこともあるでしょうからね。話し相手が変わることで新たな部分が刺激されてだんだん考え方もはっきりするような気がします。
仕事を探す人の気持ちに寄り添って
片上 今、全国的に派遣社員の登録数は減ってきているんですね。
ハローワークの利用者さんも減っていますし、派遣労働者が減っているんです。当社でも登録数は減っていますが、派遣で働く方は毎月増えています。
何が起こっているかというと、派遣スタッフさん一人にかけるコンサルティングの時間が長くなっているということなんです。
という事は、私たち派遣会社の社員の成長、スキルアップというのが就業率のアップには欠かせないということです。
ミヤウチ 話を聞く人によって、話す側の持ち味が引き出されることもありますからね。その辺り、具体例があればお聞かせください。
片上 そうですね。話す人が同じでも、会う回数が増すたびに信頼度が深まっていくということがありますね。
それから、人が変わったら共感のポイントがあって信頼が深まるということもあります。
なかなか最初から「私はこんなことができます」と話をされる方は少ないんですよ。皆さん謙虚なんですね。体験談を聞いていくうちに、だんだんとお互いの理解が深まっていきますね。
ミヤウチ ご本人も話をしていくうちに、自分のことがはっきりしていくこともあるでしょうね。
片上 こんな例がありました。看護師さんをしていた方なんですが、「私、何にもできないんです。事務もできないし、接客もできないし、でも働かないといけないんです。」と言われたんです。
でも看護師さんですから、いろんな患者さんをケアしておられたわけですよね。生死を目の前にした厳しい現場でも働いて来られてるわけですね。だからこその芯の強さを私は感じたんです。
いろいろ話す中で、新居浜市の総合受付の仕事はどうだろうかとご紹介したんです。そうしたらすぐに「無理です」と断られたんですね。
でも話をするうちにやってみようかなということになって、そこで仕事をされるようになったんです。たくさんの人に見られる仕事なので、見る見る生き生きとしてこられましたね。
事務経験はなかったのですが、ナースとして責任ある仕事をしていた経験が市役所でも生かされていました。
ミヤウチ それはその方にとって大きな自信になったでしょうね。
片上 そうですね。受付の仕事を2年された後、結局その方はまた看護師の仕事に戻られています。違う仕事をしてみて、自分のしたいことややりがいに気がついたと話しておられました。
ミヤウチ その方はいい経験をされましたね。さて、古い世代の私のイメージでは、派遣会社に登録する人は何か特別なスキルや経験値をお持ちで、自信をもって「私はこんなことができます」という方が多いのかと思っていましたが、そういうことでもないんですね。
片上 そうです。初めは自信なく来られる方が結構おられるんですよ。そんな方が生き生きと仕事をするようになっていかれるのが、私たちにとっても嬉しいことなんですね。
ハローワークで仕事を探してもなかなか上手くいかず、自信をなくして来られる方もおられました。例えば、独身時代に銀行に10年お勤めした後、子育て中のブランクが10年あったと。
その間、世の中の動きも大きく変わっていて、仕事をしたいけれど、全く自信がないと話されたんですね。
様々な方法で就業をサポートする
ミヤウチ そんな方のためにどのようなケアをしておられるのですか。
片上 派遣前の研修を行っています。パソコンに慣れていただいたり、派遣で働いている方のお話を聞いて、働くイメージを持ってもらうようにしたり、その方の希望やスキルに応じてそんなサポートをしています。
ミヤウチ 私がお話を伺った派遣スタッフの方は、アビリティーの担当者がサポートしてくださることに本当に勇気付けられたと言っておられましたね。
そこが、アビリティーセンターの持ち味ではないかと思いました。お仕事が決まってからは、具体的にはどのような手順を踏んでいくのか聞かせてください。
片上 派遣で働く最大のメリットは、直接雇用と違って、その会社とは別の所に、私たちのような相談窓口があるということです。会社に直接言いにくいことも担当者に相談ができるということです。
その担当者とは事前の面談の時から信頼関係ができていますので、安心して相談していただけます。職場見学もその担当者が一緒に行きます。
その会社で仕事をすることが決まれば、派遣前の研修、契約書の説明、就業開始日までの流れも共有しまして、初出社の日も担当者が一緒に出社します。
実際の勤務がスタートしてからも定期的なサポートをします。実際に働いておられるところに訪問したり、夜電話をして様子を聞いて相談にのったりします。
ミヤウチ それは本当に心強いですね。以前お話した方が「最初、慣れなくて辛いときに、アビリティーの担当さんに何度も話を聞いてもらって乗り越えられました」とか「勤務時間を変更してもらうときにも担当さんにお世話になりました」などどいう声が出てきました。困っているときにすぐ相談できる存在は本当にありがたいと思います。
片上 そうありたいと思っています。本社にもサポートセンターを作っていますので、そこでもタイムリーに電話やメールで問い合わせていただくことができるようになっています。
派遣スタッフから正社員に
ミヤウチ 派遣で仕事を始めて、その期間後に正社員として直接雇用となった方もいらっしゃいますね。
片上 そうですね。この1年、特に多くなっています。会社側では新卒採用や中途採用がなかなか難しくなっていますので、派遣スタッフさんが戦力として期待されるんですね。
仕事ぶりが良いと分った場合は、希望すれば正社員として採用されることがあるんです。去年の10月は東予エリアだけで十数人就職できました。嬉しいですねえ。
ミヤウチ それは素晴らしいですね。でも、という事は、こちらの登録スタッフが減るということになって、アビリティーとしては痛手ではないんですか。
片上 派遣スタッフとしての契約は切れますが、こちらでお世話した方が評価していただいて、就職できるということは、私たちにとっても、とても嬉しいことなんです。
それだけ信用を得ることになりますので、また何か人材でお困りの時にはアビリティーにご依頼いただけますからね。会社の方がお身内を紹介してくださったりもするんです。
大切な方を私たちに紹介してくださるというのは、信頼していただけたということだと思うんです。こちらも仕事のモチベーションが上がります。それから、就職できた方からもお友達を紹介していただいたりしますからね。派遣スタッフが直接就職できるようになることは私たちも応援しています。
ミヤウチ 派遣業は、ただ単に派遣スタッフを送り込んでその分の利益を得るというイメージが一般にはあるのではないかと思うのですが、それだけではなく、会社や求職者と信頼関係を築いていくことで、さらに質の高いお仕事を目指しておられるということですね。今の社会に派遣業が果たす役割や求められるものは大きいですね。
片上 10年前とは随分変わってきていると思います。以前は企業にとって必要なだけ、必要なときに必要な人数を補充できるというのが派遣スタッフの活用の仕方でした。
今も勿論それは求められますが、もっと積極的に戦力として期待されるようになってのではないかと思います。
地方では、選べるほどたくさんの職種や求人はないと思うのですが、働く側の要望は多岐にわたってきましたね。人不足感が否めないので、お休みや勤務時間など、企業側の条件の譲歩なども多くなってはきましたね。働く側への理解も深まったと思います。
ミヤウチ 女性が働きやすくなってきたということですか。
片上 女性の働き方に理解を示していただける企業さんは多くなりましたね。働く人の家庭の事情や考え方もいろいろありますので、その辺りも事前にすり合わせて、お一人お一人が活躍できるステージを準備できるよう、念入りに打ち合わせをさせていただきます。
企業側も今はいかに少人数で効率を上げるかを考えていますので、女性が働きやすく能力を発揮できるように配慮するようになってきました。
ミヤウチ という事は、やはりスキルを身に付けてちゃんと仕事ができるようになっていると、企業も派遣スタッフだからと軽んじることなく大事にしてくれるということですね。
片上 そうですね。だから、10数年前と比べて、パソコンを使えることは大前提になっていますね。慣れてない方には、ここで、レベルに応じて練習していただきます。やる気のある方は家でも一生懸命練習されますので上達は早いですね。
ミヤウチ そんな自分の状態も初めのアビリティーセンターの担当者との話の中で相談はできるのですね。そしてそれに合わせて、仕事を探してくださったり、パソコンの研修をしてくださったりするのですね。
片上 そうです。まずは気軽に相談していただければと思います。
例えば、妊娠の可能性がある、でもそれまでは一生懸命働きたいという方が結構おられるんです。そんな方ともじっくり相談させていただきます。
アビリティーの登録スタッフの方で、そのようにして仕事を始めて今は産休育休をとっている方が四国で30人くらいおられるんですよ。子どもが生まれたら仕事に復帰したいという方たちですね。3人目の子どもさんを出産して仕事に復帰した方もおられます。派遣先の社長さんの理解もあって、資格取得に向けて頑張っておられますよ。
自分の能力を十分生かしている方もたくさんおられます。その方はお子さんが小学校に上がるタイミングで勤務時間を少しずつ延ばしていかれる計画ですね。
category / 四国の働き方図鑑